國語教育大道
「國語教育の目的は、國語を教授することに依って、健全にして有為なる国民を養成することであります」と説く一冊。 感想:教育の目的として「国家の興隆に役立つ国民を養成する」ことが挙げられているが、これは戦後の私たちにはあまり教えられてこなかった視点ではないか。

仁木文庫データベース化プロジェクト
明治21年に建てられた仁木邸には、菊池高等女学校で教え、戦地に散った仁木唯喜(ただき)先生が 学んだ蔵書が遺されていました。その一冊一冊をデータベース化しながら、「日本のこころ」を 静かに問い直す研究会を、毎週水曜日に開いています。
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仁木邸は明治21年の建築から138年、地域とともに時を重ねてきました。その歩みの中に、 教壇から戦地へ向かった唯喜先生の物語と、令和になって蔵書と出会い直した仁木文庫の はじまりがあります。
仁木家の家系はさらに遡る。弘仁2年(811年)、始祖・仁賀木右近が公家として伊賀より 菊池に下り、袈裟尾に住して仁木を名乗ったのが始まりと伝わる。天明3年(1783年)、 喜三次が分家して新たに仁木家を興し、以来の代を重ねて仁木邸の建築へとつながっていく。
現在の仁木文庫の母屋にあたる仁木邸が建てられる。棟札には「明治貳拾壱年八月吉日建立 仁木嘉久蔵」の文字が遺る。以来138年、地域とともに時を重ねてきた。
仁木家の長男・仁木唯喜(ただき)先生、熊本県菊池郡隈府町に生まれる。
広島高等師範学校を卒業し、熊本県立菊池高等女学校(現在の菊池高校)の教諭となる。
現職のまま召集令により、熊本十六部隊に入隊する。
2月7日、中支・湖南冷水舗にて戦病死(マラリヤ兼回帰熱)。終戦のおよそ半年前、唯喜先生が再び教壇に立つことは叶わなかった。
仁木裕明氏から仁木義邦氏へ仁木邸が引き継がれ、整備が始まる。その過程で、唯喜先生が学んでいたおよそ800冊の蔵書と出会った。
国の登録有形文化財(建造物)への申請を進めており、令和8年7月以降、文化庁による第一次現地調査が予定されている。
その痕跡は、いまも仁木邸のあちこちに遺っています。
唯喜先生が学んだ書棚には、国語教育や修身など、当時の教育やものの考え方を伝える書籍が 数多く並んでいました。その中には、GHQ の WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・ プログラム)——「強い日本を二度と復活させないための政策」——によって、無きものとして 扱われた本も少なくありません。
「復刻本なら見たことがある」という方も、いらっしゃるかもしれません。
仁木文庫 蔵書より
仁木文庫にあるのは、その原本です。
焼かれ、隠され、忘れられかけた一次資料が、ここには確かに遺っています。仁木文庫は、 それを一冊ずつ読み、記録し、データベースという形で次の世代に手渡していく作業を 続けています。以下は、実際にデータベース化した蔵書の一部です。
「國語教育の目的は、國語を教授することに依って、健全にして有為なる国民を養成することであります」と説く一冊。 感想:教育の目的として「国家の興隆に役立つ国民を養成する」ことが挙げられているが、これは戦後の私たちにはあまり教えられてこなかった視点ではないか。
教育勅語の精神に鑑み、子女の精神と使命を道徳をもって教育する側のための書。 感想:大正から昭和にかけて5刷を重ねた。この時代、女性が社会・家庭にどうあるべきかを導いた教育の姿が伝わってくる。
皇国精神と大日本帝国憲法を解説する一冊。本文には、天皇・皇祖天神を中心とした同心円の図が示される。 感想:当時の世界観を伝える資料として、驚きをもって読んだ。
「日本精神は、世界の運命の批判に堪へるものでなくてはならぬ。世界の運命とは宇宙精神である」と説く。 感想:外国文化を否定し絶滅させる植民地主義ではなく、包容し統一していく思想として書かれていることが読み取れる。
天皇の尊厳と國體の真理を、問いと解答という形式で釈明しようとした一冊。 感想:目次ごとに疑問を投げかけ、読者の意識を導いていく構成に、当時の時代状況がうかがえる。
これまでにデータベース化した蔵書一覧を見る →
※ 蔵書一覧の閲覧は、クラウドファンディングでご支援いただいた方限定の返礼品です
仁木文庫は、遺された一次資料と向き合うことを通じて、次のような問いを、押しつけることなく、 一緒に考えていきたいと思っています。
答えを急いで用意するのではなく、一次資料に学び、他の方々の意見を集め、そこから二次資料を 創造していく——それが仁木文庫の進め方です。
研究にとって命となるのは、一次資料です。仁木文庫では、蔵書そのものに学び、そこに他の 方々の意見を重ねていくことで、二次資料を少しずつ創造しています。
仁木文庫の蔵書を一冊ずつ手に取り、書誌情報を記録しながらデータベース化を進めています。この作業そのものが、一次資料を後世に残す仕事です。
データベース化を通じて見えてきたことを、3か月に一度の研究発表会でご紹介しています。関心をお持ちの方は、どなたでもご参加いただけます。
未来の社会像として、ピーター・ティールは「テックによる管理社会」を構想しました。 仁木文庫が目指すのは、それとは異なる方向です。
効率と統制によって秩序を保とうとする未来像。
制度だけでなく、人と人との関係の厚みを取り戻すこと。仁木邸の改修も、そうした善き社会に寄与できる時空間を目指して進めています。
仁木邸という一軒の家と、そこに遺された言葉から、もう一度、そういう社会のかたちを 考えてみたいと思っています。
このプロジェクトにご興味を持たれた方を、心よりお待ちしています。研究発表会の見学、 蔵書整理へのご参加、資料に関するお問い合わせなど、どうぞお気軽にご連絡ください。